世界ではいま、お肉のかわりとなる代替肉市場が活況をみせています。
遅ればせながら日本の企業も続々と参入をはじめています。
食料不足や地球温暖化など、もはや待ったなしの山積みの問題に対する、人々の意識が高まっている証拠です。
では代替肉とはどのようなお肉なのでしょうか?
どのような種類のものがあるのでしょうか?
代替肉を食べるメリットはなんなのか?
そして日本の代替肉の普及が遅れているのはなぜなのか??
そのへんについて話していこうと思います。

みんなで学んでいくピヨ。
【代替肉とはどんなもの?】

代替肉とは言葉のとおり「お肉の替わりになるもの」です。
つまりタンパク質を既存の動物にたよるものから、別のものに置きかえるために開発された食品です。
現在さまざまな代替肉の開発がすすんでいますが、どのような種類のものがあるのでしょうか?
見ていきましょう。
【代替肉の種類】
代替肉といっても、その種類はさまざまです。
ここでは4種類の代替肉を紹介していきましょう。
【プラントベースミート】

植物性たんぱく質(おもに大豆やエンドウ豆、小麦など)を原料につくられた代替肉の総称です。
ほかにもフェイクミートなど、複数の呼び名があります。
日本だと大豆が原材料の「大豆ミート」が主流です。
ただ注意してほしい点は、100%植物性のものだけで作られた食品とは限らないことです。
なかにはお肉の油脂やエキス、卵や乳製品をもちいているものもあるので、原材料はきちんと確認しましょう。
【マイコプロテイン】

マイコプロテインという言葉をはじめて聞く方も多いのではないのでしょうか?
日本では出まわっていませんが、欧州では30年以上まえから食されているそうです。
糸状菌とよばれる、一般的にはカビとよばれるものを利用してつくられた代替肉です。
カビと聞くと「マジかよ…」と絶句してしまいますが、安心してください。
青カビの生えたブルーチーズが食べられるように、カビにもさまざまな種類があり、人間に有用なものを使用しています。
【昆虫食】

世界では約2000種類ほどの昆虫がたべられているそうです。
わたしも子供のころイナゴの佃煮を食べたことがありますが、そのような経験がない人からすると、抵抗感がつよいかもしれませんね。
でも昆虫の形がわからないようにパウダー状にしてしまえば、食べるハードルも下がるかもしれません。
人気小売チェーンの無印良品でも、コオロギパウダーを使用したせんべいを発売して話題になりました。
品切れ状態がつづいており、昆虫食への関心の高さがうかがえますね。
昆虫は家畜とくらべ、卵をたくさん産むので繁殖力がたかく、1kgのたんぱく質をつくる際にかかるエサや水の消費量、そして温室効果ガスの排出量を低くおさえることができるそうです。
【培養肉】

動物の細胞を培養してつくられるお肉です。
研究・開発段階ですが、お肉ができるまでに家畜ほど時間もかからず、食料や水も必要ないので効率的です。
そしてなにより、動物のいのちに依存しないので、罪悪感がないところが素晴らしいと思います。
しかし培養する機器を動かすためのエネルギーなどの資源は必要なので、今後あらたな問題も発生するかもしれませんね。

いろいろな種類の代替肉があるピヨ。
現在はプラントベースミートが一番うけいれられているピヨ!
【代替肉を食べるメリットとは?】
世界で代替肉の消費量が増えているのにはもちろん理由があります。
世界の人口爆発や経済発展とともに増えるお肉の消費量。
それにともなう地球環境の破壊など。
代替肉はそれらの問題を解決する1つの手段だからです。

くわしくはこちらのページにまとめたピヨ。 →【食の未来について考えてみる】フードテックと食がかかえる3つの問題点とは?
代替肉に興味をもってもらえたら嬉しいピヨ。
みんなが食べることで多くのメリットがある代替肉。
ではなぜ欧米とくらべて日本での普及がおくれているのでしょうか?
【日本で代替肉の普及が遅れている理由】
それは以下の3つの理由によるものです。
1 歴史的な背景によるもの |
2 お肉への依存度のひくさ |
3 温室効果ガスへの意識の高さのちがい |

詳しくみていくピヨ。
【 歴史的な背景によるもの】

まず1つめの理由が「歴史的な背景によるもの」です。
日本は古来から肉食を禁止する法令がたびたび出されています。
とくに675年に天武天皇が出した「肉食禁止令」が有名です。
しかし禁止令とはいえ、そこまで厳格なものではなく、食べてはいけないお肉の種類(牛・馬・犬・鶏・猿)や期間(農耕期の4月~9月)が定められただけのものでした。
公には禁止されていましたが、その美味しさから隠れて食べるものもいたそうです。
その後も時の統治者がぞくぞくと肉食禁止を命じ、明治時代まで、つまり約1200年間、肉食は禁止されていました。
そして長い間、忌避感をもたれていた肉食が、食の欧米化や畜産技術の向上によって、一気に普及したのは1955年以降といわれています。
つまり日本の肉食の歴史は100年にも満たない短いものなのです。
このお肉の歴史の浅さが、お肉に対する意識の低さにつながり、代替肉への関心が低い原因の1つだとみられます。

美味しいお肉を効率よくつくることだけに関心が向いている気がするピヨ。
これからはお肉をつくる際のコストについても考える必要があるピヨ。
【 お肉への依存度のひくさ】

つづいて2つめの理由は「お肉への依存度の低さ」から来るものです。
1つめの理由で説明したとおり、日本では長年、肉食が禁止されていました。
すると当然、動物性たんぱく質のかわりに植物性たんぱく質に頼らざるをえません。
穀物や豆類などの植物への依存度が高くなり、それらを美味しくいただくために創意工夫してできたものが和食です。
醤油・味噌をはじめとした調味料、納豆・豆腐・油揚げなど、大豆をじょうずに加工した食べ物がたくさんあります。
代替肉に頼らずとも、この和食の多彩さがあることから、日本での普及が遅れているものと思われます。

お肉を食べられなかった歴史が、お肉に頼らない和食をつくったピヨ。
日本には代替肉にたよらなくても、美味しいものがたくさんあるピヨ。
【温室効果ガスへの意識の高さのちがい】

産業革命はイギリスを中心にヨーロッパ全土にひろがりました。
しかし生活が豊かになった反面、環境破壊によるさまざまな問題も生じました。
これらの反省からヨーロッパの人々は環境問題に対する意識が高いといわれています。
とりわけ山火事など、地球温暖化にともなう災害の発生がおおいため、温室効果ガスの削減に関心が強いそうです。
そのため、お肉をつくるために発生する大量の温室効果ガスを問題視し、日本とくらべて代替肉の普及がすすんでいます。

日本でも異常気象が多発していて、温室効果ガスに注目があつまっているピヨ。
それまでは大気や水質汚染の関心のほうが高かったピヨ。
直面している問題によって意識もかわるピヨね~。
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