【食の未来について考えてみる】フードテックと食肉がかかえる3つの問題点とは?

研究のイラスト topics

最近、フードテックという言葉を耳にする機会も増えてきました。

フードテックとは食【Food】とテクノロジー【Technology】を組み合わせた造語のことです。

現在わたしたちがかかえている、あるいは近い未来にかかえるであろう食に関する問題を、最先端の科学やITの 技術をもちいて解決していこうという試みです。

ではわたしたちの食生活をささえるために、どのような問題が起きているのでしょうか?

ここでは食肉に着目して、3つの問題にふれていこうと思います。

【食料不足問題】

干ばつのイラスト

国連は世界の人口が2030年に85億人、2050年に97億人、そして2100年には109億人に達すると予測しています。

この人口増に対し、現状の生産体制では安定したお肉の供給が難しいそうです。

また仮に、この予測に反して世界の人口が減ったとしても、経済発展がつづくかぎり、貧困層が減り、中間層が増える可能性があります。

国民1人あたりの所得が増えると、それにともなって年間のお肉の消費量も増加するというデータがあります。

つまり、人口が増えても減っても、将来お肉の消費量が増える問題は避けることができないのです。

ではなぜこんなにも、他の食料ではなく、お肉の消費量が増えることを心配しているのでしょうか?

それはお肉を作るには、大量の飼料や水・土地などの資源を必要とするからです。

以下の表は2017年に農林水産省が発表した、日本の飼育方法で1kgのお肉を生産する際に使用するトウモロコシの量をあらわしています。

動物必要なトウモロコシの量
牛のイラスト11kg
豚のイラスト7kg
鶏のイラスト4kg
卵のイラスト3kg

お肉を食べる量が増えてしまうと、飼料となる穀物の量も加速度的に増えてしまうことがわかります。

特に牛肉をつくるのに多くの飼料を必要としていることがわかるピヨ。
なんと、鶏肉の3倍にちかいピヨ!

【地球温暖化問題】

温暖化する地球のイラスト

年々、夏の暑さが厳しくなっている気がしませんか?

加齢による体力の衰えは否めませんが、それでもわたしが子供のころの夏は今ほど大変なものではなかったと思います。

それもそのはず、近年の夏は最高気温が35℃を超える猛暑日が増加傾向にあるそうです。

そしてこの地球温暖化の原因といわれているものが「温室効果ガス」。

簡単にいってしまえば、太陽からもらった熱を地球の表面にとどめ、あたためる働きをしています。

下のグラフは温室効果ガスの、ガス別の排出量の割合をあらわしたものです。

IPCC 第5次評価報告書より

わたしたちが快適な生活をおくるために必要なエネルギーの多くは、化石燃料を燃やすことでつくられているので、その副産物である二酸化炭素の割合はとても大きなものになっています。

そして注目してほしいのが2番目に割合の大きいメタン。

実はメタン発生の原因の1つになっているのが、なんと「牛のげっぷ」なんです。

冗談のようにきこえるけどホントの話。

牛をはじめとした反芻(はんすう)動物は胃を4つもっています。

この1つ目の胃のなかに住む微生物が、食べ物を消化するのと同時にメタンを発生させ、そのガスを牛がげっぷとして吐きだすのです。

ぴよちゃん
ぴよちゃん

このメタンの発生をおさえるために、新しい飼料づくりなどに取りくんでいるピヨ!

【動物愛護・感染症問題】

鶏のイラスト

畜産の技術が発達したことによって、効率的に家畜をそだてることが可能になりました。

ブロイラー(食用鶏の品種)は品種改良によって、50年まえの鶏と比べ、約4倍はやく成長します。

しかし成長速度がはやいため、骨格が筋肉の成長においつかず、歩行困難などの障害もみられるようです。

くわえて不衛生な狭い空間でたくさんの鶏を育てるため、感染症をはじめとした病気の予防のために、大量の抗生物質の投与などもおこなわれています。

わたしたちの食をささえるために、このような劣悪な環境におかれている動物に対し罪悪感をいだき、食肉をやめたり減らす人たちも増えはじめています。

ぴよちゃん
ぴよちゃん

コロナ禍になったことで、動物愛護だけでなく感染症予防の観点からも、食肉に対する関心が高まっているピヨ。

【解決策】お肉に替わるあたらしいたんぱく質の開発

以上、わたしたちの食がかかえる3つの問題点について話してきました。

この問題の解決策として、いま世界では「お肉に替わる新しいたんぱく質」の開発がすすんでいます。

植物性たんぱく質からつくられる「代替肉」。

昆虫からたんぱく質をとる「昆虫食」。

動物の細胞を培養してつくる「培養肉」などです。

そして欧米を中心に多くの企業がしのぎをけずり、その市場は拡大傾向にあります。

日本ではまだまだ馴染みのないものですが、これらの食品が日常的に食卓にのぼる日もそう遠くないのかもしれません。

【まとめ】

日本に住んでいるとそんなに高いお金を払わなくても、そのへんのお店に入れば簡単にお肉を食べることができます。

しかし、そう遠くない未来、現在と同じ食生活をおくることができなくなるかもしれません。

フードテックによって解決できる問題もあるとは思いますが、それに伴う変化を、わたしたちも受け入れる覚悟をもつ必要があります。

毎日おいしく頂いているご飯について考えるきっかけになれば幸いです。

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